教え子の巣立ち
この春、社会人になる私の教え子が、レッスンについて書いてくれた文章です。
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私が田淵先生のところに来させて頂いたのは、大学3年生の冬からでした。保育に関わる仕事がしたくて、その時にピアノの上手な先生になりたいと思ったためです。しかし、ピアノは小学校以来習っていなかったので、保育士のためのピアノ教室に通うことを決めました(採用試験でピアノの実技があるということもありましたが)。
初めの頃は、思い出したら笑ってしまうくらいカチコチになって弾いていました。ただ目の前の楽譜通りに弾くことに全神経を注いでいました。すごく面白くない演奏だったと思います。先生はそれを段々とほぐしていってくださいました。子どもたちにとってイメージが膨らむような、情景が思い浮かぶように演奏をするには、力まずに自分がその世界を思い描いて弾くことが大切だと知りました。書いていると当たり前のことのようにも思えますが、当時の私にはこれがなかなか難しかったのです。
弾き歌いに関しても同じでした。音程を間違えないように、リズムを合わせて…。歌は苦手意識を持っていたので、初めは辛い時間でした。でも、景色を思い浮かべ、恥ずかしさもなくして歌っているうちに、歌がとっても楽しくなりました。好きになり、もっと歌いたいと思えるようにもなりました。人前で歌うことにはまだ恥ずかしさがありますが…。自分がこんな風に思えるとは思っていなかったので、とても嬉しい変化でした。
そうこうしているうちに、私の採用試験はすぐにやってきて、先生に課題曲や自由曲の指導をしていただきました。ブランクがあいてのピアノでしたが、そこそこ上手く弾けたんじゃないかなと思います。最終的には公立の保育士・幼稚園教諭としてなんとか採用されましたが、それまでに受けていた他の試験はなかなか上手くいきませんでした。その度に涙を流してしまう私を、先生は叱ってくださいました。ある程度大きくなってから叱ってもらえることはなかったので、その当時は悲しかったですが、今ではとても感謝しています。私の将来的に課題となるであろう弱い部分を叱ってくださっていたと思うからです。一生懸命やったら、あとはなるようになる。そう思えるまで努力する。それが甘かったのだろうと思います。これからの生き方についても考える機会となりました。
基本的には優しく、楽しいレッスンでしたが、時には厳しく、生きていく上での知恵を授けてくださるようなものでした。ピアノや歌がもっと好きになりました。先生のお話を聞くのも好きでした。また、幼児教育に関するお話や本を貸してくださったり、先生の歌の伴奏をさせてもらえたり、おさらい会では初めて本物のグランドピアノに触らせていただいたり、今までにない経験もたくさんさせてもらえて、感謝の気持ちでいっぱいです。先生に出会えて、私は少し変われたんじゃないかなと思います。本当にありがとうございました。
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